稲森和夫の実学
こんにちは
稲森和夫の実学を読んだ。
会計と経営との結びつきをここまで真剣に考え、そしてそれを実務に取り入れ、実践してみせた人がいるのだろうか?管理会計は、経営のための経営なのだから、経営に役にたたないと意味がない。経営に役立つ管理会計はどうあるべきなのかを描いていて素晴らしい。
古典的な原価計算の本質をとらえ、問題点を突いている。原価計算を勉強した人なら、はっとさせられるかもしれない。私は何度となく、うーむ、するどいなーと思った。
もちろん、原価計算基準がだめだと言っているわけではない。標準原価制度によって算定される原価は間違いではない。しかし、そこから生み出される数字は過去の数字であるがゆえに、経営判断に役に立つ数字にはなっていない、ということを指摘しているのだ。
この本を読むには、はやり原価計算基準・会計基準についてまずはしっかりと理解しておかなければ、棚卸資産の評価に売価還元法を使うのはなぜか、標準原価計算で算出した原価ではだめだったのか、がわからないと思う。
文庫本であるため、ちまたの会計の本と違って、深く具体的には書いていないが、経営哲学・会計哲学としては十分な内容だ。
会計と経営とが乖離してしまったのはなぜなのかの本質を突いている。だが、この本により、会計と経営は結びついた。この本に基づいて会計をとらえることができれば会計は経営に重要なのである。
経営と密接に結びついてこそ管理会計は意味があると思うので、管理会計および経営を重点的に勉強している人にはとても参考になる一冊だと思う。
- 作者: 稲盛和夫
- 出版社/メーカー: 日本経済新聞社
- 発売日: 2000/11/07
- メディア: 文庫
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ではまた